SSDと「コム デ ギャルソンのインテリアデザイン」の続き

7月11日、五十嵐太郎さんに呼んで頂き、SSD(せんだいスクールオブデザイン)でレクチャーをするため仙台まで行ってきました。場所は仙台の倉庫街にある阿部仁史さんのアトリエ。阿部さんのアトリエ自体もやはり倉庫を改装した気持ちのよい空間で、おかげでリラックスして話すことができました。
このレクチャーは「インテリアデザイン」をテーマにしたもので、1回目が鈴木紀慶さん、2回目が飯島直樹さんで、ぼくは3回目で最後の回。だから最初は時代背景的な物を70年代からざっくりと解説しつつ、思想地図β1で書いた「コム デ ギャルソンのインテリアデザイン」をキーノートを使って話しました。実はあの論文自体も当初は東浩紀さんが主催していた研究会で発表したキーノートがベースになっていたので、話していて懐かしかったです。
ただ、あの論文のあと、コム デ ギャルソンは北京、韓国、シンガポールとアジアに次々と大型店を出店し、さらに、昨年は丸の内店、今年はドーバーストリートマーケットギンザがオープン。追い打ちをかけるように4月7日には青山店もリニューアルするなど、実はこの数年でコム デ ギャルソンのインテリアデザインはかなり変化しています。
という訳で、ぼく自身もあの論考の続きを執筆してはいたのですが、中々これといった軸になるアイデアがなく、書きあぐねている所でした。
しかし、一昨日の発表のために色々と資料を読み返していくいうちになんとか核になるアイデアを思いつき、そちらを付け加え、無事、最新作まで話を繋げる事が出来ました。このタイミングで呼んでいただいて助かりましたw。

また、レクチャーの後半は質問時間がたっぷりととられていて、一方的に話すだけではなく、対話することができたので、どういった事に関心があるのかがよく分かり、楽しかったです。具体的には「規制」についての質問が最も多く、これは現代では重要なテーマだなと改めて思いました。
ともかく、参加して頂いたみなさん、ありがとうございました。

最後に。あの論考にはアイデアの元になった本がいくつかあります。受講してくれた人がこちらを読んでくれていると信じつつ、下記にあげておきます。インテリアデザインとは一見関係ない本ばかりですが、現在デザインを勉強しているなら絶対になにかを与えてくれるはずです。


規制についてはなんといってもまずはこの本。アーキテクチャという言葉もここからきています。また規制については、建築関連だと質問の時に少し触れた吉村靖孝さんの「超合法建築図鑑」と、アトリエワンの「メイド・イン・トーキョー」も面白いです。

CODE VERSION2.0

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現代の日本がどういう時代なのかを知りたければこちらを。新書で読みやすいですし、頭の中をかなりクリアにしてくれるはずです。

動物化するポストモダン オタクから見た日本社会 (講談社現代新書)

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多様性が大事なのだということについて、また「複雑ネットワーク」って難しそうな言葉だけど興味あるな、と思った人には、この二冊はすごく読みやすいしおすすめです。

「みんなの意見」は案外正しい (角川文庫)

「みんなの意見」は案外正しい (角川文庫)

「複雑ネットワーク」とは何か―複雑な関係を読み解く新しいアプローチ (ブルーバックス)

「複雑ネットワーク」とは何か―複雑な関係を読み解く新しいアプローチ (ブルーバックス)


ブランドが生存競争しているというアイデアはこの中のミームからきています。

利己的な遺伝子 <増補新装版>

利己的な遺伝子 <増補新装版>


ぼくのコム デ ギャルソンの論考が90年以降になっているなはディヤン・スジックのこの本があるから。89年の青山店まではこちらにまとまっています。絶版ですが図書館などで。

川久保玲とコムデギャルソン

川久保玲とコムデギャルソン


最後はなんといってもこちら。多分いままでで一番時間をかけて読んだ本。いまだに何度読み返しても面白く、また、デザインのためのアイデアにも満ちていて、よくある「無人島にもっていく一冊」ならぼくはこれです。

システムの科学

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