初音ミクに出馬させてみた「共有党宣言」のための覚え書き 濱野智史

時期がかなり遅くなってしまったので今更感がありすぎるのですがせっかく書いたので。


11月9日に行われた「東浩紀ゼロアカ道場」の第4次関門に天野年朗さんと松平耕一さんが道場破りとして参加した同人誌「新文学」というのがあります。その中に濱野智史氏による「初音ミクに出馬させてみた-「共有党宣言」のための覚え書き」というのがあるのですが、そのアイデアが面白かったので実際にもし初音ミク都知事選に出るとしたらどんな選挙になるかを絵にしてみました。



まずこれまでの選挙演説等のように中心や前方に演説者(候補者)がいて、その回りに聴衆がいるという延々と守り続けられた構図がまず、いとも簡単に壊されることになります。初音ミクコスプレイヤーが複数登場するだけでなく、痛車やその他のキャラクターのコスプレイヤーも大量に登場するでしょう。そこではもはや誰が候補者で誰が聴衆かよく分からない、もはや最初の動機(この場合選挙)を忘れて単にネタとして盛り上がるための、ネット上の「祭」を現実化したような空間が都市に現れる事になります(この事は祭事(まつりごと)と政事(まつりごと)という言葉を考えると、あながち不謹慎であり得ないとは思えない)。


そしてここで興味深いのは初音ミクというのは、もともと音声合成ソフトだという事です。そのため声(選挙演説)はデータをいくらでもコピーすることが可能です、また初音ミクというキャラクターは言うまでもなく架空のものなので、コスプレ等で代用するほかなく、これもいくらでもコピーが可能なので、同時刻に複数の場所での選挙活動が可能になります(現実の時間や場所に制限されない!)。


上記のようにいろいろな意味で非常に画期的で考えさせられるアイデアなのですが、「新文学」の中の文章はあまりに短かったので、ギートステイト東浩紀さんと下條信輔さんの対談等も参考にしつつ、濱野智史さんの続きをもう少し考えていければと思っています。


追記

1990年のオウム真理教衆議院議院選挙とウィリアム・ギブソンの「あいどる」の事を書くのを忘れていましたが、初音ミクが選挙に出るなら、これらはいろいろ考えさせられます。